前回の記事では、六次産業化の基礎知識やメリット・デメリット、成功・失敗事例について解説しました。今回は、さらに踏み込んで、六次産業で実際に利益を出すために必要な「お金」の話を中心に解説していきます。委託製造を前提とした場合の収支計算について詳しく説明します。
六次産業化は「お金」がすべて!シビアな現実
六次産業化は、農産物の付加価値を高め、収入を増やすチャンスですが、同時に厳しいお金の管理が求められます。
農産物の生産だけでなく、加工、販売、マーケティングなど、様々な業務をこなさなければなりません。それぞれの工程でコストが発生し、収益を圧迫する可能性もあります。
委託製造を選択した場合、初期投資を抑えられるというメリットがありますが、その分、委託製造費などの費用が発生します。
例えば、
- 委託製造費: 加工品の製造を委託する場合、製造費や包装費などが発生します。
- 販売手数料: オンラインショップや委託販売を利用する場合、販売手数料が発生します。
- その他: 販促費、広告費、人件費など、様々な費用が発生します。
これらの費用をしっかりと把握し、適切な価格設定や販売戦略を立てることが重要です。
利益100万円を出すための計算式(委託製造の場合)
では、委託製造を前提とした場合、具体的にどれくらいの売上を上げれば、利益100万円を達成できるのでしょうか?
ここでは、例として、農産物加工品の一つである「ジャム」を販売する場合の計算式を紹介します。
前提条件:
- ジャムの小売価格: 500円/個
- 委託製造費(原材料費、製造費、包装費など): 300円/個
- 販売手数料(オンラインショップなど): 売上の10%
- その他費用(人件費、家賃、光熱費など): 20万円
計算式:
- 利益 = (売上 - 販売手数料) - 委託製造費 - 固定費
- 100万円 = (売上 - 売上 × 0.1) - (300円/個 × 販売個数) - 20万円
この式から、利益100万円を達成するためには、
- 売上高: 約222万円
- 販売個数: 約4,444個
が必要になります。
売上高を達成するための販売戦略
4,444個のジャムを販売するためには、どのような販売戦略が必要でしょうか?
- オンラインショップ: 自社サイトやECモールで販売し、全国の消費者に向けて販売する。
- イベント出店: 地域のイベントやマルシェに出店し、商品をPRする。
- 委託販売: 地域のスーパーや道の駅、観光施設などに委託販売する。
- ふるさと納税返礼品: 自治体のふるさと納税返礼品として登録し、販路を拡大する。
- SNSを活用したプロモーション: InstagramやFacebookなどのSNSで商品を発信し、認知度を高める。
これらの販売方法を組み合わせることで、より多くの顧客にアプローチし、売上を伸ばすことができます。
まとめ:六次産業で利益を出すのは簡単ではないが…
委託製造は、初期投資を抑え、専門知識やノウハウがなくても六次産業化を始められるというメリットがあります。しかし、その分、委託製造費や販売手数料などの費用が発生するため、収支計算をしっかりと行い、適切な価格設定や販売戦略を立てることが重要です。
また、100万円の利益を出すためには相当な数を販売しなければいけないことが分かりました。販売に集中しすぎると農作業にも影響が出てきてしまいますね。。
あくまで副業的な感じでやるのがよいのかもしれません。