月齢とぶどう栽培

古来より、月の満ち欠けは農業と密接な関係があるとされてきました。潮の満ち引きや人間のバイオリズムに影響を与えるように、植物の成長にも月のリズムが関わっているというのです。今回は、ぶどう栽培における月齢の活用法について、具体的な農作業と合わせて解説します。

月のリズムと植物の成長

月は約29.5日周期で地球の周りを公転し、その間、新月、上弦の月、満月、下弦の月と姿を変えます。この月の満ち欠けによって、植物の水分や養分の吸収、成長に変化が生じると言われています。

新月~上弦の月: 根の吸収力が弱まり、植物は地上の成長にエネルギーを集中させます。葉や茎が成長しやすい時期です。

満月: 植物の水分含有量が増え、種子や果実に栄養が行き渡りやすくなります。

下弦の月~新月:根からの吸収力が再び高まり、植物は地下の成長にエネルギーを集中させます。根の発育が活発になる時期です。

ぶどう栽培における月齢の活用法

月齢とぶどう栽培の関係性は、科学的に完全に解明されたわけではありませんが、経験則に基づいた農作業の指針として活用することができます。

新月~上弦の月:

  • 芽かき: 芽かきは、不要な芽を取り除き、養分を集中させる作業です。上弦の月は、植物の成長が活発な時期なので、芽かきを行うのに適しています。
  • 葉面散布: 葉や枝など上部の活動が活発になる時期なので、肥料を吸収しやすくなります。特に、リン酸肥料の吸収が促進されると言われています。

上弦の月~満月:

  • 収穫: 果実の糖度や香りが高まると言われています。特に、ワイン用ぶどうの収穫に適しているという意見もあります。
  • 接ぎ木: 植物の活性が最も高まる時期なので、接ぎ木の成功率が高まるとされています。また、穂木の採取もこの時期に行うと良いとされています。
  • 防除:虫は満月に卵産む傾向にあるので満月から2~3日後に殺虫剤を散布すると効果が高いと言われています。

下弦の月~新月:

  • 剪定: 樹液の流動が穏やかになるため、剪定の適期とされています。傷口からの樹液の流出が少なく、樹への負担を軽減できます
  • 土壌改良: 土壌中の微生物の活動が活発になるため、堆肥や有機肥料を施すのに適しています。
  • 草刈り:植物内の水分が根に集中し、地上部の成長が鈍くなるため刈り取った雑草が再生しにくくなると考えられています。

月齢農法は万能ではない

月齢農法は、あくまで経験則に基づいたものであり、科学的な根拠が完全に確立されているわけではありません。また、気候や土壌条件など、他の要因も考慮する必要があります。

私自身も作業が間に合わない等の理由で上記に書いた以外の時期にすることも多いです。

しかし、月のリズムを意識することで、ぶどうの生育を促進し、より美味しいぶどうを収穫できる可能性はあります。ぜひ、ご自身のぶどう畑で試してみて、その効果を実感してください。

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